「妖怪びしょ濡れおかっぱ」の完全版あとがき



 松原真琴です。著者です。好きな妖怪は猫又です。


【近況】

 HDDレコーダーが壊れて直したり、パソコンが壊れて直したり、電話機が壊れて直してまた壊れて買い換えたり、茨城の笠間に行って陶芸をしたり、2人目の甥ができたり、「MOTHER3」をうぉんうぉん泣きながらクリアしたり、満員電車でピンヒールの女性に素足を踏まれてたくさん血が出たり、ベランダに蜂の巣ができたり、猫に買ったばかりの座椅子を破られたり、閉館間際の大恐竜探検館に行ったり、「激走戦隊カーレンジャー」を全話見直したりしていました。
 いろいろありますが、どうにか元気にやっています。


【びしょ濡れおかっぱ】

 今回の話は、トミイマサコ先生のホームページにあるたくさんのイラストを見ていて浮かんだ話です。「こういう水の妖怪っておもしろいんじゃないかなぁ」と、頭の中でいろいろと設定を考えていました。しかし、その時はまだ『びしょ濡れおかっぱ』という名称はついておらず、ただ単に、『水の妖怪の話』として脳内にストックされていました。
 その妖怪に『びしょ濡れおかっぱ』という名前がついたのは、東京都・神田にあるヤマダモンゴル(ジンギスカン屋さん)で友達2人と飲んでいた時のことです。
私 「この間の大雨の日に傘を差さずにローソンへ行って、店員にかわいそうな目で見られたよ」
友達 「ははは! 妖怪だ!」
私 「そうだよ。妖怪だよ。妖怪びしょ濡れおかっぱだよ(私の髪型はおかっぱなので)」
 自分で言ったことなのですが、「これや!」と思いました。いや、これしかない、と思いました。
 おもしろいもので、名前がついてからはどんどんキャラクターが固まっていき、あっという間に話ができあがりました。スミちゃんの素とたくさんのすばらしいイラストをくださったトミイ先生と、スミちゃんの真の誕生に立ち会ってくれた神田飲み会のみんな、どうもありがとう。


【G県】

 この話の舞台は、空想の都市・G県なのですが、これは私の出身地である岐阜県がモデルになっています。
 初めて会った人に、「どこの出身?」と訊かれ、「岐阜です」と答えると、皆一様に、「え? どこ?」と聞き返してきます。その度に、「本州の真ん中あたりにあって、犬を横から見たような形をした県で……」と説明をしなければなりません。なぜこんなにも知名度が低いのか岐阜県。
 そのためか、都会出身者にバカにされることも多いのです。今まで言われた中で一番ひどい岐阜イジリは、「岐阜って名古屋の植民地でしょ?」です。他にも、「岐阜って何?(せめて「どこ?」って訊いてほしかった)」とか、「岐阜って大阪?(私が話す岐阜弁のなまりが少し関西弁に似ているため、大阪府の都市名だと思ったらしい)」などなど。私はにこやかにそれを聞きつつも、心の中では、くそう……いいところなのに! と、密かに郷土愛を燃やしていたわけです。
 その郷土愛を、全部この作品に詰め込みました。岐阜はいいところです。何もないところですが、首都圏で暮らしている今では、「何もない」があるというのはすてきなことじゃないか、と思います。温泉も多いので、一度行かれてはいかがでしょうか。こだましか止まりませんけど。


【木良川】

 岐阜県に実際にある木曽川と長良川を混ぜた名前です。長良川は鵜飼いで有名な川。木曽川は私の実家の近くにある川で、小学生の頃は父と一緒に犬を連れて散歩をし、中学生の頃はひとり夕暮れに土手で膝を抱えていた思い出いっぱいの川です。あと、小学校低学年の時、ダンボールで土手を滑り降りる遊びをしていたら、斜面が出っ張っていたところで体が空中に投げ出され、顔面から落ちて派手に鼻血を出したことのある思い出の地でもあります。血まみれになった私を見て、一緒に遊んでいた子が号泣していました。


【モーニング】

 店によって内容が違います。ちゃんと、みそ汁じゃなくてサラダが出るところもあります。というか、みそ汁はわりと特殊なケースです。他にも、トーストが小倉トースト(トーストの上にあんこが乗っている)だったり、みそ汁じゃなくてうどんだったり、ゆで卵が目玉焼きだったりします。
 東京でもやればいいのに、モーニング。


【クロノトリガー】

 中学生の時、本当に日常生活に支障を来すほどやっていました。今までにやったRPGの中で、一番好きです。PS版は今でも時々やっています。本当にいいゲームなので、皆様もぜひ。年齢に関係なく楽しめます。何度やっても涙が出るゲームというのは、本当に貴重ですよ。
 PSPかDSに完全移植してくれないかなぁ……。


【私と家族】

私 「八月に台風が来たとして、何か特別な作業をして守らなきゃいけない野菜って何?」
父 「え? 何、急に?」
私 「今やってる仕事で必要だから。おばあちゃんにも訊いてみて」
 これを書いていた時に、私と父が実際に交わした会話です。小説を書く子供がいる家族は、夜に突然こんなわけのわからない電話がかかってくるので大変だと思います。しかも、教わっても結局使わないし。……知ってから書く、というのが大切なんです。たぶん。
 いつもごめんなさい。いつもありがとう。


【なまり】

 キャラクターのほとんどが方言を使っていますが、これは正式には岐阜弁ではありません。『G県弁』ということで、岐阜弁に近いんだけどちょっと違う……というものを目指しました。とはいえ、87%くらいは岐阜弁なので、「岐阜弁ってこんな感じなんだー」と思っていただいても、たぶん大丈夫です。大丈夫……でしょうか、岐阜の皆様?(岐阜を出てもう12年になるので、だいぶ抜けてるんです、岐阜弁)


【高宮・スミちゃん・大悟・一ツ橋】

 全員とても動かしやすいキャラクターになりました。それぞれをそれぞれに気に入っているので、この本が好評だったら、第2弾・3弾と書いていきたいです。新しい妖怪を出したりして。スミちゃんがT都へ行く、なんていうのもいいかもしれません。
 それもこれも皆様の反応次第ですので、本に挟まっているアンケートハガキを書いてくださるとうれしいです。


 最後になりましたが、この本を手にとってくださった皆様と、制作に関わってくださった皆様に、お礼を。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
 このお話が、少しでも、皆様の心を潤してくれますように(湿気で)。